カルト映画の名作25選:あなたはいくつ観た?
映画作品について、「カルト的な人気を誇る作品」という表現をすることがよくある。だが、カルト映画とはいったいどんなものをさすだろう?
「カルト映画」にみられる共通点は、必ずしも万人受けするとはいえない内容と、だからこそ特定の観客に強く訴えかけ、映画ファンに語り継がれていく独自の魅力である。今回はそんな作品を振り返ってみよう。
滑稽なほど悪趣味な『時計じかけのオレンジ』に登場する「コロヴァ・ミルク・バー」では、ドラッグ入りミルク「ミルク・プラス」を飲むことができる。15歳のアレックス・デラージとその仲間たちは、今夜も「ミルク・プラス」を飲みながら、新しい暴力の計画を練るのだ。早回しの凌辱シーンも有名。
アドベンチャー、エロティシズム、SFの要素を混ぜ合わせた『バーバレム』の主人公ジェーン・フォンダの姿は、20世紀で最も売れたポスターのひとつになった。
『顔のない眼』の残酷な皮膚剥ぎ手術シーンには思わず目を覆いたくなる。主人公のジェネシュ博士は交通事故で顔に火傷を負ってしまった娘のために、他の若い女性たちを誘拐して顔の皮膚をはぎとり、移植手術を行うのだ。原作はジャン・ルドンの小説。この映画はペドロ・アルモドバル監督の『私が、生きる肌』にインスピレーションを与えた。
製作費11万4,000ドルという低予算映画『ナイト・オブ・リビングデッド』は、公開から数十年がたった今も、観客に衝撃を与え続けている。暴力的で残酷、非常に露骨なこの作品は、ホラー映画最大の古典となっており、クリエイターたちを刺激しつづけている。
『悪魔のいけにえ』は、原題の『The Texas Chain Saw Massacre(テキサス・チェーンソー大虐殺)』がその内容をよく表している。人皮で作った仮面姿でチェーンソーをぶんぶん振り回す大男「レザーフェイス」の出現により、ホラー映画には間違いなく新たな地平が拓けた。血しぶき飛び散る残酷さと、テキサスに沈む抒情的な夕日には、どこか哀切きわまるところがある。
『ロッキー・ホラー・ショー』は「映画.com」の作品解説によると、「マッドサイエンティストの屋敷に迷い込んだ男女の運命を、往年のSF怪奇映画へのオマージュやロック音楽を散りばめながら描く」作品である。リチャード・オブライエン原作のホラー・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』の映画化。
デヴィッド・リンチ監督の長編デビュー作『イレイザーヘッド』は、できることなら深夜の映画館で観たい。宇宙空間を意識があてどなく漂っていくようなシュールな世界に浸ることができる。完成まで5年もかかった難産の作品であり、俳優ジャック・ナンスは撮影開始から3年間、「役柄のことを考えて、ずっとあのなりでいてくれた」と、リンチ監督はのちに述懐している。写真のごとく、ジャック扮する主人公ヘンリーは髪型がとても特徴的なのだ。
参考資料:デイヴィッド・リンチ『大きな魚をつかまえよう』草坂虹恵訳、四月社、2012年
写真:Nocturno
映画『ストリートファイター』(1975年)、『ストリート・オヴ・ファイヤー』(1984年)などで有名なウォルター・ヒル監督は、ヒリヒリするような時代の空気感を反映する作品を作った。『ウォリアーズ』もそんな一本であり、多少の誇張はあるにしても、ニューヨークを舞台に展開するストリートギャングたちの抗争を荒っぽく生々しく描いている。
サム・ライミ監督といえばゾンビ映画だが、そのイメージは出世作の『死霊のはらわた』から始まった。悪霊と死霊、さらにはチェーンソーまで出てくる本作は、おさえるところをしっかり押さえたカルト映画のお手本といえる。
写真:New Line Cinema
『ブレードランナー』はよく知られているように、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作とする近未来SFである。舞台となっているのは2019年のロサンゼルスで、映画全編を通して酸性雨が降りしきっている。東洋的なネオンサインも印象的。続編の『ブレードランナー 2049』が2017年に公開されている。
『遊星からの物体X』は、ハワード・ホークス製作の『遊星よりの物体X』(1951年)のリメイク。南極観測基地を舞台に、隊員たちが謎の生命体によって襲われるというSFホラー。謎の生命体ははじめ犬の姿をとっているが、物理的に接触した他の生命体に姿を変えることができるという設定で、観測隊員にも化け始める。
『未来世紀ブラジル』はジョージ・オーウェルの小説『1984年』をもとにしている。「ビッグ・ブラザー」を思わせる国家の情報省につとめる職員が、デ・ニーロ扮する地下活動家の「タトル」と出会って現実に目覚めるというストーリー。
『ラビリンス/魔王の迷宮』では、可憐なジェニファー・コネリーがデヴィッド・ボウイと共演しており、それ以外の登場人物はほとんどマペットによって演じられている。
1986年公開の『ゴーストハンターズ』の原題は『Big Trouble in Little China』なので、1984年公開の『ゴーストバスターズ(Ghostbusters)』とは関係ない。「ハンターズ」のほうはカート・ラッセルが主人公で、チャイナタウンを舞台にカンフーアクションが繰り広げられるファンタジー映画である。
本作はウィリアム・ゴールドマンの小説『プリンセス・ブライド』の映画化で、祖父が病気の孫のために物語「プリンセス・ブライド」を語って聞かせるという入れ子構造のストーリーになっている。物語の登場人物の「仰せの通りに」といったセリフや、「やあ、俺の名前はイニゴ・モントーヤだ」といったセリフが印象的。
『AKIRA』は日本のみならず世界に大きな影響を与えたアニメーション映画。ネオ東京を舞台に、愛用のバイクで爆走している主人公の金田が、凶暴な超能力者と化した鉄雄と対峙する。金田が発する「さんをつけろよデコ助野郎!」というセリフがあまりに有名。
ウィノナ・ライダー主演の青春学園サスペンスで、ブラックユーモアが効いた一作。スクールカースト下位のベロニカは、ある転校生との出会いをきっかけに同級生への復讐を開始する。
アンソニー・ホプキンス扮するレクター博士は、映画史上の悪役として非常に名高い。ジョディ・フォスター扮するクラリス捜査官とのやりとりも刺激的だ。
写真:MGM
ジョン・トラボルタ扮する「ヴィンセント」とサミュエル・L・ジャクソン扮する「ジュールス」は、タランティーノの最高の脚本を得て映画史に名を刻んでいる。B級映画への横溢する愛がこの作品の根底にある。
ボーリング好きの中年ダメ男がずぶずぶとトラブルに巻き込まれていく『ビッグ・リボウスキ』は、好きな人はとことん好きなカルト映画といえる。アメリカでは熱狂的なファンたちが毎年集会を開いているという。
『マトリックス』が描いた仮想世界のアクションは、当時の観客にとって目からうろこの衝撃で、映画史におけるデジタル革命ともいうべき画期的な出来事だった。本作は日本でも大ヒットを記録し、キアヌ・リーブス扮する「ネオ」が上体を深く反らしながら銃弾をかわすポーズ自体が「マトリックス」と呼ばれるまでになっている。
『ファイト・クラブ』は映画誌などでしばしば取り上げられる作品だ。主演はエドワード・ノートンとブラッド・ピット。土曜日の夜に集まりが持たれる地下の秘密結社「ファイト・クラブ」で殴り合うことに生きがいを見出していく男(エドワード・ノートン)の姿が描かれている。ブラッド・ピットの正体は何なのか? その結末は意味深だ。
写真:20th Century Fox
『レクイエム・フォー・ドリーム』は観る者を落ち込ませる映画として有名な一作。アメリカの若者たちが麻薬依存によって夢を蝕まれ、ぼろぼろになっていく過程が痛々しく描かれている。
銀色のウサギが世界の終わりを告げる『ドニー・ダーコ』は、その難解な筋立てから一度見ただけでは意味がよくわからない映画としてよく紹介される。主演はジェイク・ジレンホール。独特な世界観には一定のファンがつき、2009年には続編が作られた。
『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』をはじめ、脳の中を覗くような中毒性のある作品で知られる脚本家のチャーリー・カウフマン。そんな彼の脚本による『エターナル・サンシャイン』は、失恋の記憶を医療的に消そうか消すまいかと逡巡する男の無意識下の葛藤がテーマとなっている。
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