セクハラ疑惑で訴えられた米俳優ケヴィン・スペイシー、無罪となるも裁判費用で住む家を失う
「これからどこに住むのか、それはよくわかりません」と、ケヴィン・スペイシーは自らが置かれている窮状を赤裸々に語っている。2024年6月11日に公開されたインタビューでの発言だ。
写真:Youtube - Piers Morgan Uncensored
そのインタビューは、英国人ジャーナリスト、ピアーズ・モーガンのトーク番組「Piers Morgan Uncensored」でなされたものである(公式YouTubeチャンネルから配信)。90分を超える長尺のインタビューで、しかも、どんな質問にも答えるという充実した内容になっている。
写真:Instagram - Piers Morgan Uncensored
2023年7月、ケヴィン・スペイシーは男性4人に対する9件の性犯罪容疑について、9件すべてで無罪評決が宣告された。今回のロング・インタビューは、それからおよそ一年後というタイミングで行われたものである。
インタビューでスペイシーは、いまさらなにも隠すことはないと語り、「以前の人生よりも、もっとオープンな人生を生きたい」と述べた。
事実、ケヴィン・スペイシーの人生は以前とは違ったものになるはずである。なぜなら、度重なる裁判で弁護士費用がかさんだ結果、破産状態にあるからだ。具体的な数字は明かさなかったが、その支払いは数百万ドルにのぼるという。
ボルティモアの邸宅は抵当として差し押さえられた。家は競売に出されるという。そのような事情を語りながら、ケヴィン・スペイシーは思わず涙にむせぶことになった。
写真:Youtube - Piers Morgan Uncensored
弁護士たちへの支払いに加え、ドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の制作会社に対しても百万ドルを支払う義務が発生している。スペイシーの降板によって会社が損失を被ったとして訴訟があり、スペイシーが100万ドルを支払うことで落ち着いたのだ。
2017年にセクハラ疑惑が持ち上がったおりに、スペイシーは自身がゲイであることをカミングアウトすることになった。ゲイであることをそれまで隠していたのは、父親の影響であるという。スペイシーは、息子のそうした性向を認めようとしない父親のもとで育ったのだ。
スペイシーはこのインタビューで、俳優アンソニー・ラップについても触れている。スペイシーによる性的暴行を最初に告発した人物だ。今回のインタビューでケヴィンはあらためて、ラップが主張したような性的暴行はなかったと強調している。ベッドに彼を押さえつけたりはしなかった。そもそもそこにはベッドルームさえなかった、と。ラップがいつの日にか、自分の記憶が間違いであったと悟ってくれることを願っている、とケヴィン・スペイシーは語っている。
一方でスペイシーは、過去にボディタッチがやや過剰だったことはあるかもしれないと認めている。とはいえそれは、「まさぐる(grope)」という妙な言葉で語られるようなものでは決してない、と強調している。
そのようなボディタッチは「まさぐる(grope)」といった類のものではなく、相手をやさしく撫でるような、やさしく扱うといった意味合いでおこなわれたものである、とスペイシーはいくぶん自己弁護的にではあるが、語っている。
写真:Youtube - Piers Morgan Uncensored
ところで、ケヴィン・スペイシーの裁判は全部が終わったわけではない。肉体的暴行を受けたとして、また別の人が訴えを起こしているのだ。その件について判事の判断は、2025年に下されることになる。
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