テイラー・スウィフトのファンが勘違いで大量予約注文:BTSの回想録がベストセラーに
憧れのアイドルに関するグッズなら何でも手に入れたいというのがファンの心理というもの。しかし、その情熱が空回りすると思いがけない珍事になることも……
今回、ひと騒動まき起こしたのはシンガーソングライター、テイラー・スウィフトのファンたちだ。彼女は「スウィフティーズ」と称される熱烈なファンを抱えることで知られている。
そんな「スウィフティーズ」のことだ、テイラーが自伝を出版するという噂を聞いて居ても立っても居られなくなったのだろう。たちまち予約注文が殺到し、同書は出版前にもかかわらず大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブルとAmazonでベストセラー入りを果たすこととなった。ところが……
なんと、噂の自伝の正体は韓国の人気アイドル歌手グループ「BTS」の回想録だったと判明。BTSといえば、「Dynamite」のヒットでグラミー賞にノミネートされるなど、世界を舞台に活躍するK-POPの代表だ。
また、BTSもテイラー・スウィフト同様、熱狂的なファンを多数抱えており、こちらは「ARMY」と呼ばれている。それにしても、一体どのようにしてこんな取り違えが起きてしまったのだろうか?
『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、事の発端は大手出版社のマクミランが『4C Untitled Flatiron Nonfiction Summer 2023』という仮タイトルとともに、新作の出版を予告したことだったという。
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無論、こんな仮タイトルだけでは一体どんな書籍なのか分かるはずもない。ところが、「スウィフティーズ」たちにとっては違っていた。『ニューヨーク・タイムズ』紙いわく、著者の発表が6月13日に予定されていたことがまずファンの注意を惹いたのだという。13はテイラーお気に入りの数字だからだ。
こじつけもいいところでは? と言いたいところだが、同書のページ数は544ページであるとされており、各桁の数字を足すとこれまた13になってしまった。
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さらに、『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、テイラーはInstagramを通じてニューアルバム『Speak Now』の録音風景を投稿した際に、「読者のみなさま」という呼びかけを用いていたのだ。これはもう間違いない、少なくとも「スウィフティーズ」たちはそう考えたのだろう。
そもそも、テイラーは新作を発表するたびに謎めいたヒントを出すことで有名だった。もちろん、ファンたちの間での話だが。
そして、極めつけは『4C Untitled Flatiron Nonfiction Summer 2023』の出版予定日が7月9日だったことだ。足しても13にならないではないか、と言うなかれ。この数字には別の意味が隠されてい(るように見え)たのだ。
『ニューヨーク・タイムズ』紙いわく、書籍の出版は火曜日に行われるのが通例だが、7月9日は日曜日。では、なぜわざわざこの日が選ばれたのだろう? それはテイラーの曲「Last Kiss」の歌詞の一節に 7月9日が登場するからに違いない……
しかも、テイラーはInstagram上でニューアルバム『Speak Now』について、「7月7日にリリース予定(7月9日に間に合うようにね、わかる人にはわかるでしょ)」とコメントしていた。
ここまで偶然が重なれば、「スウィフティーズ」たちが早とちりしてしまったのも不思議ではない。しかし、実は6月13日と7月9日はBTSファンにとっても大切な数字だった。
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CNN放送によれば、BTSのファーストシングル「No More Dream」がリリースされたのは2013年6月12日で、著者公開予定日とは1日違い。さらに、7月9日はファン組織「ARMY」の設立10周年記念に当たるのだ。
テイラーが自伝を出版するという誤解の広まりを受けて、マクミラン出版の印刷を請け負うFlatiron Books社は正式なタイトル『Beyond the Story: 10-Year Record of BTS』を発表。かくして、この奇妙な騒動は終わりを迎えることとなった。
図らずも渦中の人となったテイラー・スウィフトは、故郷のナッシュビルで行われたコンサートの場で、先にも触れたニューアルバム『Speak Now』のリリース予定をファンに報告したと『バラエティ』誌は伝えている。
一方、思いがけない形で話題となったBTSは現在、メンバーたちが順次兵役に就いているようだ。『タイム』誌によれば、同グループのメンバーに例外措置を認めるかどうかで議論を巻き起こした後、昨年12月に最年長のJINが入隊。続いて、4月にはJ-Hopeも兵役をスタートしたという。