マイケル・ジャクソンの遺産を巡る争い:旧邸宅のネバーランド・ランチは一部復活へ
マイケル・ジャクソンの子供たちは、父親の遺産のおかげで何一つ不自由のない境遇にありそうだが、なかなかそうとは言い切れないようだ。マイケルが悲劇的な死を遂げてから15年になるが、莫大な遺産の相続をめぐっていまだ複雑な争いが続いているのだ。
マイケル・ジャクソンは、2009年6月25日にロサンゼルスで亡くなった。さまざまな疑惑や憶測が囁かれたのち、その死因が麻酔薬「プロポフォール」と抗不安薬「ロラゼパム」の過剰摂取であることが死から数ヶ月後に明らかにされた。
マイケルの死後、ジャクソン一族の間で遺産をめぐる争いが始まった。『フォーブス』誌によると、マイケル・ジャクソンの遺産は彼の死後も増え続け、わずか3年で5億ドルに達したという。
同誌によると、映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』により6,000万ドルが、そして、楽曲の権利をめぐる新しい契約により、2億5,000万ドルが支払われることになったという。また、シルク・ドゥ・ソレイユの公演『マイケル・ジャクソン:ザ・イモータル・ワールドツアー』のおかげで、2012年に遺産管理団体は7,500万ドル以上の収入を得た。
マイケルは遺産を自分の子供たちとその母親に遺したが、その死から15年が経つ今も、子供たちは遺産を一銭も手にしていないという。ニュースメディア『Reforma』によると、その理由の一つは、生きていれば現在66歳になる歌手の遺産管理団体と税務調査を担当するIRS(米国内国歳入庁)との間に、未払いの税金をめぐる争いが起きているからだという。
マイケルジャクソンがこの世を去ったとき、IRSの査定官はその資産を1億6,100万ドルと見積もった。しかし、IRSとマイケルの遺産管理団体の争いを担当した連邦租税裁判所の判事は、その資産をIRSの見積もりよりずっと少ない400万ドルと判断したのである。
もっとも、まだ遺産を相続していないとはいえ、マイケルの子であるプリンス(27歳)、パリス(26歳)、ビギ(旧名ブランケット、22歳)は、別の形で収入を得ている。『ピープル』誌によると、検認裁判所の発行する年次報告書を見れば、ジャクソンの子供にもその子供の母親にも、具体的な数字は不明だがかなりの額が養育費などの名目で支払われているのがわかる。
マイケルは生前の2002年に遺言状を作成し、自身の遺産のすべては「マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト」に信託するとしていた。法律事務所の「ギンズバーグ・シュルマンPL」によると、マイケルの信託された遺産のうち、20%は慈善団体への寄付に充てられ、残りは母キャサリン・ジャクソンの終身信託預金と、三人の子供の信託預金に割り振られたという。
一方、マイケルの父でジャクソン・ファイブの生みの親であるジョー・ジャクソンも、マイケルの兄弟も前妻たちも、遺言状に名前が記されていない。ところがジャクソン一族の何人かは、マイケルの遺産の分け前に与ろうと今も争っているのだ。
マイケルの作成した遺言にはある特別な条項が設けられており、遺言の内容に異議申し立てをした人は相続人としての権利を失う、と定められている。にもかかわらず、マイケルの父ジョーは遺産の一部を手にしようと裁判所に申請をおこなった。しかし、CBSニュースによればその請求は2009年に退けられたという。判事曰く、「ジョー・ジャクソンはこの遺産から何も受け取らない。それが息子の決めたことである」
現在、ビギが祖母のキャサリンと法廷闘争中である。『ビルボード』誌によると、マイケルの末っ子である「ブランケット」ことビギ・ジャクソンは、祖母が弁護士費用の支払いに遺産を使うことのないよう自ら法的書類を提出したという。ビギとキャサリンは和解に反対したが、裁判所は強制的に和解させた。
それでもマイケル・ジャクソンの遺族は、マイケル・ジャクソンからさらなる利益を引き出すことを諦めていない。オンライン紙『Independente en Español』が最近伝えたニュースによると、マイケル・ジャクソンの新作伝記映画のために、マイケルが自宅兼プライベート遊園地としていた「ネバーランド・ランチ」が改築・再建されたという。
『マイケル』と題されたその伝記映画で、主人公のマイケル・ジャクソンを演じるのは、マイケルの甥にあたるジャファー・ジャクソンである。ジャファーはマイケルの兄、ジャーマイン・ジャクソンの息子だ。映画は来年4月公開予定。
ネバーランド・ランチは、限られた形ではあるが一般に公開されており、そこで映画の撮影が行われている。エンタメ情報サイト『LADbible』によると、メリーゴーランドやサーカスのテントが復活したという。ランチにはかつて動物園があったこともある。マイケル・ジャクソンは1988年から2005年まで、そこに建つ邸宅に住んでいた。
もっとも、BBCによると、晩年のマイケルはネバーランド・ランチに寄り付かなくなっていたという。なぜならマイケルの児童虐待疑惑をめぐり、2003年にネバーランド・ランチで警察の立ち入り捜査が行われたからである。ただし、のちにマイケルの無罪が確定している。
マイケルの死後、2020年にネバーランド・ランチの広大な敷地は2,200万ドルで売却された。そして最近、アントワーン・フークワが監督しライオンズゲートが制作する『マイケル』の撮影のため、ネバーランド・ランチはありし日の輝きを部分的に取り戻すことになった。
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ただし、本作の制作には遺産管理団体も関わっていることから、マイケルの闇の部分にどの程度スポットライトがあてられるかは謎である。