マドンナの息子は画家:ロッコ・リッチーの半生
マドンナと元夫で英国人映画監督ガイ・リッチーの間に生まれたロッコ・リッチー(2000年8月11日生まれ、ロサンゼルス出身)。両親とも超有名人だが、セレブ2世としてではなく、着実にビジュアル・アーティストとしてのキャリアを築きつつある。
両親の名声を利用することもできたロッコだが、自力でアーティストとしての道を切り拓くべく「Rhed」というペンネームで活動をスタート。
アメリカからロンドンに移住し、ロンドン芸術大学のカレッジのひとつで、名門として知られるセントラル・セント・マーチンズと、同じくロンドンにあるロイヤル・ドローイング・スクールでアートを学んだ。
2018年、「Rhed」はロンドンのチェルシーにある「Tanya Baxter Contemporary」ギャラリーで初の個展を開催。それ以来、同ギャラリーの所属アーティストとなっている。
アート業界の専門家によれば「Rhed」の評判は上々であり、絵画の市場価格は約30,000ユーロに達するとされる。さらに、ABCを始めとするメディアは、いくつかの作品はすでに100,000ユーロを上回っていると伝えている。
最近までその存在は謎に包まれていたが、ロッコの友人でコスメティックブランド「Too faced」の創始者ジェロッド・ブランディーノが「Rhed」の正体を明らかにした。
2021年12月15日、ジェロッド・ブランディーノが「Rhed」の絵画を背景にロッコと写真に写り、以下のコメントを投稿した:
「芸術家は平穏を乱すべき存在であり、ロッコは変革を起こしつつある。素晴らしい才能を持つ彼の作品を、我々のコレクションに加えられたことを大変誇りに思う」これを読めば、ロッコと「Rhed」が同一人物であることが分かる。
「Rhed」は自身のスタイルについてこう述べている:
「波乱に満ちた生活、自分の成長、そして周囲の世界からつねにインスピレーションを受けることで、時と共に作風は大きな変化を遂げてきた」、また「僕のメインテーマは人体解剖学をより深く理解すること。構造というより美の対象として、そしてどう動き、年を取り、変化するかに関心があるんだ」
「Rhed」の作品を取り扱う「Tanya Baxter Contemporary」ギャラリーは、ロッコの作風は折衷的な文化背景からくるとしている:
「ニューヨークとロンドンで育った彼の絵には、自信と無邪気さが混在した魅力的な雰囲気があり、ニューヨークのグラフィティ・アートの自由とダイナミズム、鮮やかな色彩と表現主義的なスタイルが取り入れられている」批評家は概して若きロッコに大いなる可能性を見出しているが、『ガーディアン』紙の芸術評論家ジョナサン・ジョーンズや『タイム』紙のレイチェル・キャンベル・ジョンストン等は「Rhed」には大した才能はなく、作品を買うのは“見る目のない金持ち”くらいだと酷評している。
ともあれ、ロッコには脈々とアーティストとしての血が流れている。幼少時から触れてきた音楽が作品に影響を与えたことは明らかであり、本人もそれを認めている。また、幼い頃から映画に夢中だった。
ロッコの独特なスタイルは、グランジからレトロへと進化していった。また、その一部は父親であるガイ・リッチー監督のギャング映画に登場するキャラクターのルックスを思わせる。さらに「アディダス オリジナルス×アレキサンダー ワン」コレクションの広告塔としてモデルになったこともある。
英歌手スティング主催のパーティーで知り合ったマドンナとガイ・リッチーは、1999年に結婚。ロッコの誕生は、二人の結婚から9か月後のことだった。当時マドンナはロンドンに住んでいたもののイギリスの病院が気に入らず、ロサンゼルスに渡りロッコを出産した。(イギリスの病院はあまりに時代遅れと発言し、大きな議論を呼んだ)
一家がメディアに姿を現すたびに、何もかもが幸せに溢れて見える時代もあった。ルルデス・レオン(マドンナの元パートナー、カルロス・レオンとの娘)とロッコを囲んだ完璧な家族生活だったが、やがて歯車が狂い始めた。
2008年、マドンナとガイ・リッチーは離婚した。その後ロッコは母親のワールドツアーに同行し、何度かステージで共演を果たした。
2015年、ロッコは父親とともにロンドンで暮らすことを希望した。マドンナとガイ・リッチーの親権争いを経て、ロッコは2016年から父親とロンドンに暮らしている。外見に共通点も多い父親との関係はきわめて良好なようだ。
ロッコが父親との生活を望んだ理由のひとつは母親との複雑な関係にあった。支配的な面のあるマドンナと暮らす難しさに、「ポップの女王」の多忙を極めるスケジュールも重なった。そのためロッコは父親の元で、より安定した生活環境を手にすることができたようだ。現在のロッコは母親とも良い関係を築いている。
多忙なマドンナも母親として毅然とした態度をとっている。ティーンのロッコはいろいろな問題を起こしたこともあったが、たとえば彼が16歳のときにマリファナ所持で逮捕されたとき、両親は彼に数カ月間自転車の宅配アルバイトをさせる決断を下した。
プライベートではモデルのキム・ターンブル(イベントに一緒に参加したり、ロンドン市内を歩く姿がキャッチされた)や歌手のシャンテル・リーと交際していたようだ。
ここまで幼い頃から大人になるまでのロッコ・リッチーの姿を追って来たが、これからもロッコとして、あるいはアーティスト「Rhed」としての彼の活躍を追いかけていきたい。