一風変わった、ときには危険きわまりない世界の空港とは
どこであれ、空港を建設するためには、当然のことだが安全な離着陸を行うため十分なスペースを確保しなくてはならない。しかし、世界を見回せばそんな基本を無視したかのような空港も......
一部の空港では、立地の都合で柔軟な対応がとられることもある。今回は、世界各地につくられた風変わりな空港や危険な空港を見てゆこう!
一見、何の変哲もないバンコクのドンムアン空港。しかし、よく見ると2本ある主要滑走路の間には 18ホールのゴルフコースが。出発を待つ乗客たちの憩いの場となっている。
カリブ海に位置する仏領サン・バルテルミー島のグスタフ3世飛行場。丘と海に挟まれた地形のため、滑走路の長さはわずか650メートルしかない。そのため、定員20人ほどの小型飛行機しか離着陸できないのだ。
スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島に属するバラ島には一風変わった空港がある。なんと、滑走路が砂浜なのだ。このような空港は世界的にも珍しい。満潮時には砂浜が水没してしまうため、離着陸は不安定な気象条件に加えて潮汐にも影響されることになる。
世界屈指の素晴らしい空港と言われるシンガポール・チャンギ国際空港。併設の緑地や庭園には低木10万本、ヤシの木2,000本あまりが植えられており、エコな施設となっている。
カリブ海に浮かぶシント・マールテン島の長閑なビーチには、すぐそばにプリンセス・ジュリアナ国際空港が鎮座している。真っ白な砂浜のすぐ上をジェット機が飛ぶ様子は壮観だ。
南極のマクマード基地にある飛行場が利用されるのは春の間だけ。厳冬期には激しい吹雪や霜で離着陸は困難だ。一方、夏場は滑走路となる海氷が溶けてもろくなるため、閉鎖されてしまうという。
スペイン南部に英国が領有する海外領土、ジブラルタル。この街の空港は滑走路が幹線道路ウィンストン・チャーチル・アベニューを横切っているため、飛行機が離着陸するたびに人や車両は通行止めになってしまうのだ。
とはいえ、ジブラルタル国際空港はイギリス国防省の管轄であり、規模が小さく運行便の数も少ないため、事故の危険性は決して高くはない。
8つの島からなるマデイラ諸島の中で、もっとも大きなマデイラ島。首都フンシャルには本土と島々を空路で結ぶため、空港が置かれている。
この空港がもつ独特の構造は経験豊富なパイロットにとっても厄介だ。というのも、滑走路の一部が海の上に張り出しており、無数の柱で支えられているのだ。さらに、一帯は潮風による乱気流の影響も受けやすい。
洗練された空港として世界的に知られる関西国際空港。長さ4キロメートル、幅2.6キロメートルの人工島の上に置かれており、ターミナルビルを設計したのはイタリアを代表する建築家のレンツォ・ピアノだ。
一帯は山がちで平坦なスペースが用意できないため、大規模な空港を海上に建設することとなった。
ブラジルで2番目に旅客数が多い空港、コンゴーニャス空港。今でこそ都会の真ん中に鎮座しているが、1930年代に建設された当時、周囲はだだっ広い空き地だった。
その後、周囲の都市開発が進み、もはや空港の拡張は望めなくなっている。このため、中型・大型機の発着は同じくサンパウロ近郊にあるグアルーリョス空港へと移されることになった。
ポルトガルの旧植民地だったマカオは、1995年まで大型航空機の発着に難を抱えていた。そこで、3,300メートルを超える新たな滑走路が、タイパ島わきの埋め立て地に建設されることとなった。
アルプス山脈屈指のスキーリゾートを抱えるクールシュヴェルには、危険な空港として名高いクールシュヴェル飛行場がある。滑走路はわずか520メートル弱だが、標高は2,000メートル以上だ。
エベレスト登山を目指す人々の玄関口となるのが、ネパールのルクラにあるテンジン・ヒラリー空港だ。短い滑走路や高地という立地条件のため離着陸には技術が要求され、ヒストリーチャンネルの番組『最も危険な空港』でトップに選ばれたこともある。
短い滑走路の向こう側は落差600メートルの崖になっており、すでに何度か事故が起きているのも不思議ではない。そのため、ネパール民間航空局は離着陸の手順を厳密に定めているほか、パイロットにもシビアな基準が設けられている。
北極海に浮かぶスヴァールバル諸島の玄関口、スヴァールバル空港。世界最北の商業空港であり、ノルウェー本土のオスロおよびトロムソとこの街を結ぶ便が毎日運航されている。
リオデジャネイロのグアナバラ港に位置するサントス・ドゥモン空港。滑走路が短く、万が一オーバーランすれば海にドボンである。