中国のノストラダムス:パンデミックに関する不穏な予言
日本では2月1日は何の変哲もない一日でしたが、中国では旧正月を迎え、人々は寅年の始まりが祝いました。さて、お正月に今年一年の運勢を占うというのは日本人にもなじみ深い習慣ですが、中国にもノストラダムスのような予言者がいたことはご存じでしょうか?では、一体何者で、どんな予言をしたのか、見ていくことにしましょう。
(画像:ウィキメディア・コモンズ)
劉伯温(りゅう・はくおん)は元代・明代に活躍した軍師であり、哲学者、政治家です。1311年7月1日、浙江省で生まれたとされています。
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若き劉伯温は初め、官僚として元王朝に仕えていました。博学多才の彼は抜きんでた存在であり、軍を任されるまでに出世。『神機妙算劉伯温』(Apple TV/New TV)といったドラマで、彼の業績を見ることができます。
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数年間は元朝に忠実に仕えていた劉伯温ですが、腐敗しきった宮廷に幻滅、打倒元朝ののろしを挙げた朱元璋のもとに馳せ参じます。劉伯温は堅実な戦略で反乱軍を支え、明の建国に貢献。朱元璋は洪武帝として即位します。
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劉伯温が予言の書をしたためたのは、明朝に仕えていた時期です。彼がこの書物を書いたのは、宮廷での立場を固め、政争で陥れられるのを避けるためだったのではないかと歴史家たちは考えています。そして、予言者となった彼は、不可侵の地位を得ることに成功したのです。
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劉伯温の書は『焼餅歌』と呼ばれています。焼餅(シャオビン)とは一種のパンのようなものであり、このタイトルは奇妙なものに思えるかもしれません。しかし、『焼餅歌』は中国文学における11の占い書の一つとして、高く評価されています。
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『焼餅歌』のタイトルの元となった占いは、洪武帝(画像)との会食で生まれました。劉伯温の能力を試そうと考えた皇帝は、自分の食べ物を隠し、何を食べていたか当てるよう言ったのです。劉伯温は美味しい焼餅だと看破しました。
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すると、洪武帝は劉伯温に対し、未来について矢継ぎ早に質問を浴びせます。劉基は謎めいた漢詩の形で皇帝の問いかけに答え、予言者としての能力を見せました。しかし、ノストラダムスの場合と同様、彼の予言もまた詩の形をとっているため、難解かつ様々な解釈ができるようになっています。
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中国政府のウェブサイト捜狐によると、『焼餅歌』にある予言の中には中国で現実のものとなったものがあるといいます。
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解釈の仕方によるとはいえ、劉伯温は明王朝の皇位継承をめぐって争われた「靖難の変」を予言していたと言われています。また、明が「土木の変」でモンゴルに大敗することや、大航海士鄭和の登場、永楽大典を編纂することになる僧、姚広孝の誕生も予見していたとされています。
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劉伯温はまた、明王朝が腐敗した宦官、魏忠賢のせいで崩壊し、侵入した満州人の手によって清が建国されることも予言しました。
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さらに、中国史に起こる様々な事件を予測していた劉伯温:アヘン戦争や日中戦争、1911年の辛亥革命による清朝の終焉と中華民国の成立……
このように、様々な出来事を正確に予言していたとされるため、いまでも『焼餅歌』は中国では占いの書、著者の劉伯温は偉大な予言者であると考えられているのです。
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劉伯温は私たちの生きる時代についても重要な予言をています。しかし、それは『焼餅の歌』ではなく、白山にある劉伯温の碑文に書かれていました。
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劉伯温が書いたとされる「十愁」という詩には、新型コロナウイルスの大流行を予見するかのような一説が含まれているのです。
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この詩には「亥年と子年に大いなる十愁あり」と読めるような一説があるのですが、2019年(亥年)から2020年(子年)にかけて発生し、大流行に至った新型コロナウイルスのことを指していると考えることができるわけです。
そして、「十愁」はパンデミックの終息も予見していると言われています。
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この詩は別の一節で「辰年と巳年にすべてが終わる」と歌っているのです。つまり、パンデミックは2024年(辰年)あるいは2025年(巳年)まで続くかも知れないということです。
つまり、劉伯温の予言によれば2022年はまだ、ウイルスとの戦いを続ける一年だということになりそうです。
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しかし、SET Newsの報道によれば、この予言は当てにならないかもしれません。中国広東省の中山大学の歴史学者は「十愁」が本当に劉伯温の手で書かれたかどうかに疑問を呈していると言います。
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専門家は、「十愁」が在位中の天災の言い訳として、とある皇帝がでっち上げた政治の道具なのではないかという説を提唱しています。皇帝は偽の予言に正当性をもたせるために劉伯温の名前を利用したというのです。
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私たちとしては「十愁」を書いたのが誰にせよ、この予言が外れて、世界保健機関の予測が当たり、パンデミックが終息に向かうことを祈りましょう。
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