写真で見る一触即発のウクライナ危機
ウクライナとロシアの国境では双方の軍が動きを活発化させており、一触即発の状態に達している。紛争に発展した場合、NATOが積極介入するのは確実で、世界は固唾をのんで成り行きを見守っている。ウクライナ側では、プーチン露大統領の写真が不倶戴天の敵として掲げられていた。
NATOは事態を受けて東欧に艦隊や戦闘機を派遣したほか、ジョー・バイデン米大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性について触れた。一方、プーチン露大統領は侵攻の意図はないとしているものの、現場の兵士たちは臨戦態勢にある。
緊張感が高まる中、雪上で訓練を行うウクライナ軍。
ウクライナの首都キエフにある米国大使館では職員の一部がすでに退去している。『ニューヨークタイムズ』紙の報道によれば、武力衝突の可能性を前に、米政府は大使館職員の家族に避難命令を下したという。
差し迫る開戦の危機を前に、ウクライナでは民間の若者たちが入隊を志願している。
キエフ近郊にて、演習中のウクライナ兵が一休みしていた。
今の季節、ウクライナの大地は凍てついており、戦争に適しているとは言い難い。かつてナポレオンを追い返した「冬将軍」は、外国の部隊にとって障害になることが多いのだ。
過熱する米国とロシアの対立を前に、EUは冷静さを取り戻すよう呼びかけている。開戦した場合、ヨーロッパにとって深刻な問題が起こるのは目に見えているからだ:経済危機およびエネルギー危機の可能性だ(ヨーロッパのエネルギーはロシアの天然ガスに大きく依存している)。
左側の若い女性、タチアナは獣医学を学ぶウクライナ人学生だが、志願兵として入隊し、ロシアとの戦争に備えて訓練を始めた。
ウクライナでは愛国主義的な運動が街角のいたるところで起こっている。
キエフでは軍装品の売り上げが急増している。必要ならば戦闘行為も辞さない民間人たちが買い求めているためだ。
ここ数週間、ウクライナの街角では愛国主義的なパレードがさかんに行われている。
愛国主義者によって掲げられるウクライナ国旗。しかし、報道によれば、ウクライナ国民の多くは事態の平和的解決を望んでいるという。
ソビエト連邦の崩壊以来、ウクライナ・ロシア国境における緊張は常態化していた。今回の危機は、プーチン露大統領がNATOによるウクライナの取り込みを非難したことに端を発するが、これはロシアの目と鼻の先に西側諸国の軍隊が展開することを意味するためだ。一方、米国はロシアが国境地帯で大規模な軍事行動を行っていることを批判。ロシアがウクライナ侵攻を企てていると主張するに至ったのだ。
しかし、この紛争は前触れもなく始まったものではない。ロシアは2014年に当時ウクライナ領だったクリミア半島を併合したほか、ドンバス地方では親ロシア派とウクライナ政府派の間でドンバス戦争が続いているのだ。写真はドンバス戦争における民間人の犠牲者を偲ぶ記念碑。
一触即発のウクライナ危機だが、多くの場所で「戦争反対」の声が聞かれるようになってきた。写真はベルリン市内に掲げられた横断幕。紛争当事者に合意と平和に向けた取り組みを求める声は世界中で高まっている。