元F1レーサーのラルフ・シューマッハ、同性パートナーの存在を明らかにする
今年7月、元F1レーサーのラルフ・シューマッハがスポーツ界に衝撃をもたらした。インスタグラムアカウントに同性パートナーと並んだ写真を投稿し、自身の性的指向を明らかにしたのだ。これについてシューマッハの元妻であるコーラ・ブリンクマンは沈黙を守っていたが、最近ついに正式なコメントを行った。
ブリンクマンは『デア・シュピーゲル 』誌のインタビューに対し、次のように語った:「ラルフは(カミングアウトする前に)私に相談したり、ひとこと知らせてくれるべきだったと思います。それが最低限のリスペクトというものではないでしょうか。(中略)F1レーサーとしての現役時代にもそんなうわさが何度も起こり、本当かどうか尋ねましたが彼はいつもうわさを否定していたのです」
コーラ・ブリンクマンは、「ラルフが性的指向を公にする投稿をみたとき、心臓にナイフを突き立てられたように感じました。”カミングアウト”はつねに元妻や子供たちに影響をもたらすものです」と語ったほか、「今思えば、結婚生活を通じて自分が利用されていたような気も、人生における最良の時期をムダにしてしまったという気もします」と悔しさをにじませた。
自らの性的指向を明らかにしたラルフ・シューマッハにはスポーツ界から続々と祝福の声が届いているが、元妻はためらいを隠せずにいる:「ラルフは私に対して誠実だったのかどうか、考え込まずにはいられません。さらに気になるのは、私は彼に愛されていたのかどうか、ということです」
元夫が性的指向を公にして以来、ブリンクマンはかつての結婚生活について虚しい問いを繰り返しているようだが、ラルフの方は晴れてありのままの自分を表現できるようになった。ことの発端となったインスタグラム投稿をみてみよう。
ラルフ・シューマッハはある人物の腰に腕を回した写真を投稿し、「人生でもっとも素晴らしいことは、すべてを分かち合えるパートナーがそばにいることです」というコメントを添えた。独誌『デア・シュピーゲル』が伝えている。
写真: Instagram - @ralfschumacher_rsc
前出のメディアによれば、ラルフ・シューマッハは現在のパートナーと約2年前から交際していたものの、その関係はこれまで伏せられていたそうだ。
多くの人が驚いたのはラルフ・シューマッハに同性パートナーがいたということよりも、ラルフはゲイでありながら、女性で元モデルのコーラ・カロリーヌ・ブリンクマンと14年間にわたる結婚生活を送っていたということだ。
ラルフとコーラ夫妻は2001年に息子のデビッド・シューマッハを授かった。デビッドは父親や叔父と同じくレーサーの道に進み、フォーミュラ3とDTM(ドイツツーリングカー選手権)を経てADAG GTマスターズに出場している。
デビッドは父ラルフ・シューマッハのインスタグラム投稿にまっさきに反応し、父親に対する支持と愛情そして敬意のこもったコメントを行い、たちまち1万5,000件以上の「いいね!」を獲得した。
デビッド・シューマッハは「パパが心地よく一緒にいられる人を見つけたことを喜んでいます。そんなパパのことを100%応援するとともに、最高の幸せを祈ります」と投稿。
もちろん、同性パートナーの存在について告白したラルフ・シューマッハにコメントを送ったのはデビッドだけではない。ラルフが受けとるコメントは通常は50件以下なのだが、今回の投稿にはたちまち1万8,000件を超えるコメントが寄せられた。
そのうちラルフの友人のひとりであるカーメン・ガイスは「2年を経て、やっと大切なパートナーを公に紹介できたのね」とコメントし、これまでの二人の関係を裏付けた。
ラルフ・シューマッハは同性パートナーとのツーショットを投稿して自身の性的指向を明らかにしただけではなく、モータースポーツ界における性的マイノリティへのタブー視を覆し、新たな境地を切り拓こうとしている。