セレブたちが後悔してやまない90年代のヘアスタイル
髪に何かを仕込むことに、90年代にはだれもが取りつかれていた。羽毛を仕込むセレブもいれば、スパンコールを仕込むセレブもいた。コートニー・ラブは羽毛とスパンコールの間をとって、そのあいの子のような物を髪に仕込んだ。頭をおもいっきり揺すったら飛び出してきそう。
アン・ハサウェイは2001年の映画『プリティ・プリンセス』で名を揚げた。こちらもメリッサ・ジョーン・ハートと同じく、思わず指を突っ込みたくなるカーリーヘア。
蝶のヘアクリップ。90年代、学校の先生方はこのクリップを床から拾い上げては、ちゃんと筆箱のなかにしまっておきなさいと女の子たちに言い聞かせたものである。
ブリトニー・スピアーズはデビュー当時、無邪気なおさげ髪がトレードマークだった。そのあどけなさも、じきに消えていくのだが。
写真: music video 'One More Time'
90年代のヒット映画『恋のからさわぎ』でビアンカ役を演じたラリサ・オレイニクは、ティーンエイジャーのスターになった。女の子たちはこぞって彼女を真似たものだ。だが、この髪型はどうだろうか。
ジェニファー・ロペスのぞっとしない髪型なんて、想像つかないかもしれない。だが彼女とて人の子、写真のジェニファー・ロペスはまさしく90年代のバンダナを巻き、髪はうねうねと這いまわっている。
これも立派なファッションだと考えられた時代があったのだ。今となっては信じられない気もするが。写真はイン・シンク時代のジャスティン・ティンバーレイク。脱色した髪の毛がクルクルぼさぼさになっている。
ハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリー姐さんが変なヘアスタイルに手を出すなんてことが……90年代にはあった。このオレンジ色の髪はちょっと怖い。
アンドレ・アガシ。長い襟足をなびかせている。かなりの間、これで通した。今では廃れた髪型だ。
いまと変わらない。
黒・白・黄色に染めた髪にパーマをかけ、逆立てている。1995年、シンディ・ローパーは別のヘアスタイリストを雇うべきだった。いたずらっぽく額に垂れる前髪にも首をひねらずにいられない。
スパイスガールズは狂乱の90年代ファッション・ヘアスタイルのチャンピオンだった。というわけで、この記事においてもしかるべき敬意を込めて扱う。髪だけ見ても、スケアリー・スポーティ、ベイビー、ジンジャー、ポッシュのそれぞれが「らしさ」を発揮した。特記すべきは、1997年にマンチェスターで開かれた公式イベントで、チャールズ皇太子と面会を果たしたことである。
別にMC・ハマーがことさら問題なのではない。サイドを畝のようにするヘアファッションが問題なのだ。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の岩に刻まれた三つの印を思わせる。
これはシェールのアマゾン族スタイルの驚くべき例である。ピカピカで威厳に満ちている。90年代のコンサートの一コマ。
絶対ブラシが通らないような巻き毛。この髪型は廃れてしまった。
マーベル・シリーズのマイティ・ソーのオーディションを控えているのだろうか。
90年代メンズヘアスタイルの王道とは、髪を短く散髪、先っちょを金髪に脱色、ヘアジェルをごっそり使ってツンツンに仕上げるということだった。手に刺さりそうだ。
残念ながら、90年代には多くの人が、お箸を髪につっこんでいた。その理由はさだかではなく、いつごろ始まったのかも不明。いつごろ廃れたのかも不明。
おお、ごてごてとした90年代のヘアスタイル! エリザベス・テイラーとそのフィアンセ、ラリー・フォーテンスキーは同じヘアドレッサーに髪を整えてもらった。珍品陳列館20世紀末コーナーに展示してほしいヘアスタイルだ。1991年の写真。
1998年。マリリン・マンソンはMTVアワードのステージにいる。念のため言っておくと、真ん中の人がマリリン・マンソンだ。
このモデルはいつだって完璧。しかし、このヘアスタイルは90年代の変な髪型として後世に伝わっている。左右非対称のボブは、まるで頭を傾けながら髪を切ってもらったようだ。
アメリカの恋人、ケリー・クラークソン。だが、90年代のヘアスタイルで台無しだ。異様なボリュームと異様なハイライト。
マライア・キャリーは80年代のパーマスタイルで90年代もキメていた。だがときには専属のスタイリストが休暇をとることもあり、マライア・キャリーが自分でヘア・アイロンを当てた。それが失敗のもとで、髪だけ別の生命をもった生き物みたいになっている。
微妙なヘアスタイルだ。真鍮のような、黄色のような、なんとも言えない髪色。長さもまちまち。おまけにヘアジェルのつけすぎ。これではせっかくの甘いマスクも台無し。
ウィル・スミスは、当時テレビでとても人気があった。しかしこの髪型はどうだろう。角刈り。それでもなんとか耐えられるのは、ウィル・スミスの人徳のなせるわざか。
故ダイアナ妃がしくじることは稀である。彼女は王室ファッションに新風を吹きこみ、一般市民と王室の距離をぐっと縮めた。この写真は、そんなダイアナ妃がミスを犯した、とても貴重な瞬間である。きれいになでつけた髪は、まるでシャワー浴びたてのよう。
グウェン・ステファニーは90年代の申し子である。だからスライド3本立てで行こう。まずはこの写真、奇妙なツイストのおさげヘアー。ブレードだろうか、ドレッドヘアだろうか。どれだけ目を凝らしても見分けがつかない。
ピンク色、ふさのような前髪。ファッションの限界を押し広げるようなヘアスタイルには間違いなく、ロックスターにふさわしいとも言える。
ピンク色が更に進んで、おもちゃの「マイリトルポニー」のようになっている。ダークレッドの口紅ともミスマッチだ。
マドンナもまた、ファッションの限界を押し広げた。だがこのヘアスタイルは、だいぶ負担が大きそう。髪をひっぱりすぎて息もしづらそうだ。
90年代のアイコン、クリスティーナ・アギレラ。彼女は当初、近所に住んでる心優しいブロンドの女の子というイメージで売り出していた。しかし、だからといってヘアスタイルの冒険を諦めたわけではなく、このコーン・ロウはその一例だ。
のちにこの歌手は、音楽性においても、ヘアスタイルにおいても劇的な転換を迎える。世界的ヒットとなった「Dirrty」のリリースと時を同じくして、クリスティーナ・アギレラは自身の内面のみならず、ヘアスタイルにもダークな層をプラスする。金髪の下地に黒い髪が透けて見えるこのヘアスタイルは、わりと長く維持されることになった。人呼んで、スカンク・ルック。
次には黒をピンクに変えた。これは悪くなかったが、カールごてをあてて事態をややこしくしてしまった。
ジュリア・ロバーツの巻き毛について、悪く言うつもりは毛頭ない。だが、もじゃもじゃ過ぎるときがありはしなかったか。
この写真のバリモア姐さんには90年代の精髄が注ぎ込まれている。毛先の跳ねたボブ、ヘアクリップ、ピンクの差し色。ツボはすべて押さえている。
リース・ウィザースプーンはハリウッドで最も愛される女性になっており、現在47歳、非の打ちどころのないルックスを維持している。しかしまだ駆け出しだった90年代は当時の流行に追随しており、髪を奇妙なやり方で束ねていた。
やはりこの写真を省略するには忍びないので、リース・ウィザースプーンに再登場をお願いする。幼くあどけない顔立ちと、成熟した女性向きのヘアスタイルが妙にちぐはぐで、赤い口紅と真っ白な肌が吸血鬼映画を思わせる。