戻ってきた歌姫アデル
6年の歳月を経て待望の新作を発表したアデル。最新アルバム『30』からのシングル『Easy On Me』が世界中のファンを魅了しています。
『Easy On Me』はわずか数週間でチャートの上位に登場、フォロワーの間に一大革命を引き起こしています。
アデルは今年10月13日に最新アルバムを発表。3年にわたる試行錯誤を経て誕生した本作は、これまでのアルバムと同じく自身の人生に深く結びついているといいます。
今回のアルバムでは、アデルの人生で最も波乱に満ちた時期のひとつである幼少期にもふれています。プライベートだけではなく、一時期声を失ったことなどキャリアで直面した苦悩も明らかにしました。
アデルは現在のパートナーでNBAエージェントのリッチ・ポール、そして前夫との間に生まれた息子と暮らしており、最新アルバムには今の幸せな生活も反映されています。
「このアルバムは自己破壊であり、自己反省であり、そして一種の自己救済でもあると感じています。たくさんの人に私の話に耳を傾けてもらえることを心から願っているし、その準備もできています」とアデルはいっています。
『Easy on Me』の公式ミュージックビデオは公開から9時間後にYouTubeの再生回数が1,760万回を突破。数週間後には1億8千万回の再生回数を突破という驚くべき記録を打ち立てました。
アデルの音楽は流行に左右されることがありません。これまでのキャリアが示すとおり、輝かしい成功のカギとなったのは彼女の人生そのものでした。
アデルは幼い頃から音楽を中心として舞台芸術に関心を示し、音楽学校であるブリット・スクールに入学しました。
親友が交流サイト「My Space(マイスペースアデルと)」にアデルの楽曲ビデオを投稿したことでその才能が見出され、XLレコーディングストがアデルと最初の契約を結びました。
2008年、アデルは19才でデビュー・アルバム『19』をリリース。これをきっかけに彼女の人生とキャリアにおけるサクセス・ストーリーが始まりました。
アデルの楽曲は瞬く間にチャートの上位に躍り出て、その名は世界中に知られるようになりました。
米国でも確固たる成功を手にしたアデルは「サタデー・ナイト・ライブ」に出演。過去14年間で最高の視聴者数を記録し、2008年に最も人気のあるアーティストの一人として認められました。
アデルは最初のグラミー賞で「最優秀新人賞」と「最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞」の2部門を受賞。
アデルはメディアへの出演やレッドカーペットに少しずつ自信を深めていきました。
アデルのファースト・アルバムが米国でダブル・プラチナに認定。
21歳になったアデルはセカンド・アルバム『21』をリリース。音楽界やファンから高い評価を受けました。
ルックスも大きく変化したアデルは最も成功しているアーティストとみなされ、キャリアの絶頂期にありました。しかし声帯出血を起こすという最大の恐怖に直面。「アデル・ライブ」ツアーで予定していたコンサートの一部をキャンセルせざるを得ませんでした。
アデルは休養宣言をし、声帯にできた良性ポリープをレーザー除去するための手術を受けました。やがて手術から回復したアデルは、グラミー賞の授賞式で見事にカムバックを果たします。
セカンド・アルバムはグラミー賞を6部門で受賞するという記録を達成。大ヒットしたデビュー・アルバムを上回るクオリティの高さ、そして多くのファンの存在を裏付けました。
音楽と同様、パフォーマンスでもつねに変化を遂げるアデルは、2回目のグラミー賞のレッドカーペットでもがらりと雰囲気を変えて登場。
グラミー賞授賞式でライブパフォーマンスを行ったアデル。以前にもまして自信にあふれた表情の彼女に熱狂的なスタンディングオベーションが贈られました。
第54回グラミー賞はアデルのひとり舞台となりました。主な賞に輝き、素晴らしいライブパフォーマンスを行った彼女は今最も成功しているアーティストの一人としての地位を確立しました。
アデルのセカンド・アルバム『21』はリリースからわずか10カ月で、当時の英国で最も売れたアルバムとなりました。
さらにヨーロッパ出身のアーティストとして初めてiTunesのダウンロード数が100万回を突破。
続いて2枚のシングルと2枚のアルバムが同時に全英トップ5にランクインという、ビートルズだけがもっていた記録に並びました。
「El Mundo」によれば、アデルのセカンド・アルバム『21』の売上は340万枚を突破。この数字は故エイミー・ワインハウスのアルバム『Back to Black』が5年間で達成した売上数330万枚を上回ります。
ビルボードホットホット100では、3枚のシングルが同時にトップ10入りした史上初の女性となりました。
コンサートの大成功やアルバムの記録的な売上に加え、アデルのルックスの変化は多くの雑誌の表紙をにぎわせました。
しかしファッションデザイナーの故カール・ラガーフェルド氏はフランスの新聞「メトロ」誌で、アデルについて「少し太りすぎだが、顔と声は素晴らしい」とコメント。アデルは「ピープル」誌を通じ、「雑誌の表紙を飾るモデルのようになりたいと思ったことはない」と反論しました。
アデルの対応にラガーフェルドが歩み寄り、「アデルに、私はきみの大ファンだと伝えたい。私は10年以上前に30キロも体重を落とし、今もそれを維持している。マスコミから外見について心ない批判をされたとき、どんな気持ちになるかよく知っている。アデルは最高の女性だ、次のアルバムが待ちきれない」とコメントしました。
プライベートでは、2012年10月19日にパートナーの実業家サイモン・コネッキーとの間に息子のアンジェロ君を出産しました。
幸せな成功を収めたアデルは、映画ジェームズ・ボンド・シリーズ第23作目となる『007 スカイフォール』の主題歌『スカイフォール』を制作。さらに名声を高めていきました。
アデルは『スカイフォール』を通じ、2013年のアカデミー賞授賞式で初めて歌曲賞を受賞する栄誉を手にしました。
3年間の活動休止を経て、2015年には3枚目のアルバム『25』をリリース。あらゆる人気音楽チャートの上位にランクインしました。
2015年、彼女はさらに大きなルックスの変化を遂げました。新生アデルは各国のマスコミに注目され、ふたたび数多くの雑誌の表紙を飾りました。
アデルは各国の人気雑誌「ローリング・ストーンズ」、「ヴォーグ」、「ヴァニティ・フェア」、「エル」等で高く称賛されます。
国際フォノグラフィック産業連盟は『25』は2015年に最も売れたアルバムと認定しました。
自身の健康と家族のために4年間活動を休止していたアデルは、最新アルバムに収録された『Hello』でふたたび音楽界へのカムバックを果たしました。
『Hello』は、第59回グラミー賞でレコード・オブ・ザ・イヤー、ソング・オブ・ザ・イヤー、ベスト・ポップ・ソロ・ボーカル・パフォーマンスの3部門で受賞しました。
長い充電期間を経てファンからの期待が高まっていたアデルは、3度目のコンサートツアー「Adele Live 2016」をスタート。118公演を実施し、2017年7月1日にツアーを終えました。
しばらく舞台から遠ざかっていたアデルは、2019年4月、7年間のコネッキーとの関係に終止符を打ち別居したことを正式に発表しました。
そして今、アデルがふたたび音楽シーンに復帰します。11月に待望の最新アルバム『30』をリリース、新たな輝きを放ちます。