サスペンス・ホラーの巨匠、スティーブン・キング原作の名作映画を振り返る

巨匠スティーブン・キング
『キャリー』(1974/1976)
『キャリー2』(1999/2000)
『シャイニング』(1977/1980)
原作者は不満?
『ドクター・スリープ』(2013/2019)
『IT』(1986/2017)
映画版が大ヒット
続編も好評
『クリスティーン』(1983)
『トウモロコシ畑の子供たち』(1978/1983)
シリーズ化してリメイクも
『ペット・セマタリー』(1983/2019)
評価は分かれる
『ミザリー』(1987/1990)
『ジェラルドのゲーム』(1992/2017)
『1922』(2010/2017)
『グリーンマイル』(1980/1990)
『シークレット ウィンドウ』(1990/2004)
『1408号室』(1999/2007)
複数のエンディングが撮られていた
巨匠スティーブン・キング

1945年アメリカのポートランドに生まれた作家スティーブン・キングは言わずと知れたサスペンス・ホラーの巨匠だ。その作品には映画化されたものも数多い。振り返ってみよう。

『キャリー』(1974/1976)

キングのデビュー作『キャリー』は1974年に出版され、76年に映画化された。映画では、超能力者の少女をシシー・スペイセクが演じている。

『キャリー2』(1999/2000)

1988年には同じ原作がブロードウェイでミュージカル化。1999年には映画版の続編も作られる(『キャリー2』)。さらに2000年代に入ってからも、2002年にはテレビドラマ版、2013年には映画のリメイクが出ている。リメイク版ではクロエ・グレース・モレッツが主役を演じている。

『シャイニング』(1977/1980)

『シャイニング』はキング初のベストセラーだ。出版されたのは1977年で、その後程なく、1980年にスタンリー・キューブリック監督によって映画化された。映画版も歴史に残る名作として名高い。

原作者は不満?

ところが、原作者であるキングは映画版にあまり満足していなかったらしく、『プレイボーイ』誌のインタビューではこう語っている:「キューブリック監督のことは昔から尊敬していましたし、今回の映画化にも大変期待していました。ですが、出来上がった作品には心底失望しました。たしかに、それなりに怖く、閉所恐怖的な感覚を惹起する場面はありますが、ほかはまったく退屈です」

『ドクター・スリープ』(2013/2019)

以降、『シャイニング』のことは忘れたかと思われたキングだったが、2013年に続編『ドクター・スリープ』を発表。2019年にはユアン・マクレガー主演で映画化されている。

『IT』(1986/2017)

「殺人ピエロ」とも呼ばれた実在する連続殺人鬼ジェン・ウェイン・ゲイシーに触発されて書いた『IT』はキング最大のベストセラーとなった。

映画版が大ヒット

『IT』はなんども映像化されているが、もっとも印象深く、商業的にも成功したのは2017年の映画版(『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』)だろう。興行収入は7億ドルを突破し、ホラー映画としては史上最高となった。

続編も好評

映画版には続編も作られ、2019年に公開(『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』)。こちらも全世界興行収入4億7300万ドルと好成績を残した。

『クリスティーン』(1983)

一方、大ヒットとはいかなかったのが『クリスティーン』だ。原作と同じ年に公開された映画版は当初批評的にあまり評価されなかったが、いまではカルト的な名作と考えられている。

『トウモロコシ畑の子供たち』(1978/1983)

1978年に『ペントハウス』誌に公開された短編『トウモロコシ畑の子供たち』も何度か映像化されている。最初の例が1983年公開の短編映画『Disciples of the Crow』だ。

シリーズ化してリメイクも

1984年には長編映画となり(『チルドレン・オブ・ザ・コーン』)、シリーズ化。以降7作も映画が作られたほか、2009年にはテレビ版リメイクも制作された。

『ペット・セマタリー』(1983/2019)

『ペット・セマタリー』(1983)も複数回映像化された作品だ。最初が1989年(『ペット・セメタリー』)で、2019年にリメイクされている。

評価は分かれる

最初の作品は多くの観客を驚かし話題にもなったが、リメイク版の評価は分かれた。ダークなトーンを評価する観客もいたが、全体的にペースが遅く退屈だという声も聞かれた。

『ミザリー』(1987/1990)

1987年に出版された『ミザリー』は1990年に映画化。恐ろしいアニーを演じたキャシー・ベイツはその演技が評価され、アカデミー主演女優賞を獲得している。

『ジェラルドのゲーム』(1992/2017)

『ジェラルドのゲーム』は1992年に発表された長編小説で、2017年にネットフリックスが映画化した。マイク・フラナガン監督と主演のカーラ・グギノの演技、ともに高評価だ。

『1922』(2010/2017)

同じくネットフリックスによる映像化で、対照的に批評家受けが悪かったのが『1922』(2017)だ。2010年発表の中編集『Full Dark, No Stars』収録の同名作品が原作で、かつて自分の妻を殺したことを告白する農夫が直面する残酷な運命を描いている。

『グリーンマイル』(1980/1990)

ホラーアンソロジー『Dark Forces』(1980)に発表された作品をもとに作られたのが映画『グリーンマイル』(1999)だ。批評的には高く評価されたが、商業的にはいまひとつ振るわなかった。2017年にはドラマ版も作られている。

『シークレット ウィンドウ』(1990/2004)

ジョニー・デップやジョン・タトゥーロが出演している映画『シークレット ウィンドウ』(2004)もキングの作品が原作だ(『秘密の窓、秘密の庭』(1990))。謎の男から盗作を非難される作家が描かれている。

『1408号室』(1999/2007)

映画『1408号室』(2007)の原作もキングの短編小説で、1999年に発表されたオーディオブックに収録されていた「一四〇八号室」が元となっている。あるホテルの一室(もちろん、1408号室)で起こる不思議な出来事を調査するオカルト作家が主人公だ。

複数のエンディングが撮られていた

映画版にはジョン・キューザックやサミュエル・L・ジャクソンが出演し、興行収入は約1億3000万ドルと商業的にも成功。ちなみに、キングの原作とは違うバージョンのエンディングが4種類も撮られていたという凝りようだ。

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